その3)待機児童問題「認可制度の歪み」「町づくりの欠陥」


前回のつづき。

保育園には種類がある。
「公立か、私立か」よりも「認可か、認可外か」に大きな違いがある。
そして、この『認可制度』そのものにも大きな問題があるように思う。


◎認可保育所
公立と私立がある。
国の定める施設の面積や職員数の基準を満たし、国や自治体から運営費が
出ているため保育料が安い。
公立も私立も保育料は同じで、どちらも自治体を通じて募集が行われる。
保育料は世帯の収入に応じて月額数千円程度から決められており、
平均値は、月額2ー4万円程度。



◎認可外(無認可)保育所
すべて民間の経営。
小規模運営で職員数が少ない、マンションを利用しており園庭がない等、
国の定める基準には満たない規模で保育を行う。
夜間・休日・長時間・泊まりの保育、病児保育、新生児保育など、
認可園にはできない、民間ならではのニーズに応えている。
園と直接契約し、保育料は認可園よりも格段に高く、月額7ー15万円程度。



設備面でも保育料の安さでも、認可保育所に預けたいのはやまやまだが、
公立の認可保育所だと、運営時間が完全に決まっているためお迎え時間の
融通が利かなかったり、0歳児の保育ができないなど欠点がある。
しかも、待機児童の多い都市部ほど、ニーズと合わないケースが多い。

・出産後は、なるべく早く働かなければならない
・休日や夜勤のある職業についている
・パートを掛け持ちして長時間働かなければならない

こういった理由で、認可保育所の保育時間だけでは間に合わず、
やむなく認可外保育所を選択したり、
日中は認可保育所、夕方からは認可外保育所と、二重保育で切り抜ける親
も少なくない。



待機児童問題では、「保育園を増やす」、「受け入れ定員を増やす」など
『数値の増加』だけが大きく叫ばれるけれども、
夜遅くまで働く親もいれば、休日にこそ働く親もおり、
現実には、家庭側のほうが『認可の基準から外れてしまうため、
本当に困っている家庭こそが莫大な保育料の負担を強いられる
という捻じれも生まれているのだ。


しかも、このようなニーズの受け皿となっている認可外保育所は、
非常に厳しい経営状況にある。

かつてお世話になった保育園は、0ー3歳児まで合計13名、
学習塾のスペースを利用した小さな認可外保育園で、
やはり認可園では間に合わないシングルマザーが非常に多かった。
園児数に見合った人数の保育士が揃い、土日も早朝7時から21時まで、
60代の園長先生は働き詰めの状態だった。
取材等で月10ー15日は延長保育をお願いし、保育料は月額8万円。
高いと感じるが・・・・・・しかし、これは、園の奉仕だった。
実際には、もっと多額の経費がかかっていたのだが、
これ以上母親たちに請求できないという、慈悲のような心で、
園長先生自らが赤字を抱えておられたのだ。
保育園は、当時の園児全員が巣立った直後、閉園してしまった。

「保育士の給料を支払って、家賃を払って、ほとんど手元に残らないのよ…。
期待に応えたかったけど、助成金も通らなくて、どうしても続けられなかったの」

園長先生の哀しげな表情は今でも忘れられない。
が・・・この園のようなケースは例外ではない。


厚労省の資料を読むと、平成26年度の認可外保育所の増減数は、
「施設の数は計 8,038 か所であり、前年から 99 か所増加している」
と書かれているが、よくよく内訳を見てみると、
「新設による増加」が707か所あるのに対して、「廃止・休止」が525か所もあった。
どれだけの人数の園児と母親が、不安定な立場に置かれたことだろう。
なぜここに税金が投入されないのか? まったく腹立たしい。

国の補助で運営される公立・私立の保育園を増やしたとしても、
現在、ニーズの受け皿となっている認可外保育所が閉鎖してゆけば、
『制度にまったく合致しない、本当の窮地に追い込まれた待機児童』
がどんどん増えてしまうのではないかとも考えられる。


待機児童問題を解決するならば、
「働く母親の闘い」という単純な見方ではなく、
保育園を必要とする親たちの、現実の就労状態をもっと正しく把握し、
現在の保育園の認可制度の歪みを、時代に沿ったものに見直すこと。
もっと税金を投入して、追い込まれた保育所を守ること。
そして、
地域住民を「子供のいる風景」へと引っ張るために、町づくりの設計を、
「個人の利益優先」から、「子供の居場所優先」に切り替えてゆけるように
一刻も早く舵を切ること。
こういったことに税金を投入することは、不確かな資産運用なんかよりも、
ずっと公共性が高く、未来への良質な投資になると思うのだけど。

私のような者が言うのは憚られますが、待機児童問題に思うこと、以上です。
 
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その2)待機児童問題は「町づくり」の欠陥でもあるのでは?


前回のつづき。

私はかなりの田舎育ちなので、都会の人とは環境が違うと思うけれど、
子供の頃は、まだ空き地がたくさんあり、わざわざ市営のグラウンドまで
行かなくてもボール遊びができた。
近所の家の庭に入り込んでしまい、怒鳴られることはあったし、
悪ガキが道路の真ん中で拾ったガラスを割って遊んでいるのを見て、
うちの父が叱り飛ばしているのを見たこともあったが、
そういった『しつけるべきこと』でない限りは、近所で遊んでいることを
怒られるということはなかった。
もちろん、煙たがる人はいたのかもしれないが、親が「委縮」するような
出来事はなかったのだと思う。

4つ下の弟の世代になると、任天堂の黄金時代に突入し、
「ファミコン」のある家が増えたが、それでも放課後の時間帯になると、
缶蹴りをしてキャーキャー騒ぐ子供たちの声は当たり前に響いていた。


ところが、この20年ほどで宅地開発が急激に進み、いま地元へ帰ると、
空き地はほとんどない。
用水路は地下におさまり、田んぼは埋められ、単身者用のアパートや
建売住宅がぎっしり並んでいる。
あとは、駐車場。
ちょっとした隙間にある小さな土地でも、車が1台でも停まるとなると、
「コインパーキング」として経営されている。

公園はあるが、ボール遊びは禁止。
路上で子供はぱらぱらとは見かけるが、歩いているだけ。
小学校の校庭か、市営のグラウンド、あるいは自宅にこもってゲーム等、
子供たちは、地域住民の日常からは隔離された場所で遊んでいる。


こうした町づくりの末、普段から子供たちの嬌声を聞くことがなくなり、
『子供は宝』という感覚がなんとなく日常から薄れていったのではないか?

その結果、突然近所に保育園がやってくるとなると、異質なもの、
『基地のようなトンデモナイもの』とまで判断してしまい(※前回のブログ参照)
個人の我だけを発露させる人が現れて、

「せっかく終の棲家を購入したのに!」
「必要なのはわかるが、うちのそばに作らなくてもいいじゃない!」


という攻撃的な反対運動につながってしまうのでは?


駐車場が増えた現象も、保育園ができない理由との関わりがある。

補助金を得られる「認可保育所」を作ろうと思うと、
施設や園庭などに「国の基準」とされる広さを確保しなければならず、
土地の値段との採算をとることがかなり難しくなる。
高い家賃をクリアできないとなると、保育士の給料を削るしかない。
フルタイムで神経を使って働いても、月収は約15万円以下、という
ケースが半数以上だ。せっかく資格を持っていても離職してしまい、
保育士として働かない人も増え続けている。
2015年の時点で、資格を保有していながら保育士として働いていない
「潜在保育士」は68万人とされた。

こうなってくると、経営する側もわざわざ保育園を建てて苦労するより
「更地のままにして駐車場経営でもするほうが良い」と考える。

都心部でも本当に駐車場が増えた。
大きな建物が取り壊されて、こんなところにずいぶん広い土地があった
んだなあ、静かでいい場所だな…と思って眺めていても、ひと月経てば
アスファルトで均され、コインパーキングになっている。
整備が非常に簡単で、運用しやすいのだ。
都心部では「とりあえず駐車場に」と安易に土地利用転換されるケースが
増えているそうで、供給過剰になっているありさま。

駐車場のせいで保育園が減ったとか、駐車場を保育園にしろと言っている
わけではないが、
「利益との天秤にかければ、
『子供の居場所』にお金を使おうと目線を向ける人は、いない」

というのが現実だ。


認可保育園だけでなく、認可外保育施設も悲惨な状況だ。

「保育士の給料を支払って、家賃を払って、もうほとんど手元に残らない
のよ…。期待に応えたかったけど、どうしても続けられなかったの」

忘れられない、お世話になった園長先生の言葉だ。

(つづく)
 
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その1)待機児童問題は「町づくり」の欠陥でもあるのでは?


「女性の活躍」という言葉に惑わされてしまうが、待機児童問題は、
単なる「働く母親の闘い」という捉えかたでは解決しない
と思う。
私はいま子供と一緒にいないので、子育て問題を語るのはとても
憚られる気持ちがあるのだけれど、思うところあるので何回かに
わけて書いてみたい。


2014年、東京都目黒区で開園予定だった60名規模の保育園が、
自治体を通じて園児を募集していたにも関わらず、
周辺住民からの反対運動を受けて、開園延期に追い込まれるという
出来事があった。
もともと高齢者の多い居住区で、老人の憩いの場でもあった緑豊かな
公園を潰しての開園計画であったことから反発が強かったようだ。

「子供の声に対する対策はあるのか」
「子供の送迎時に、自転車を道路に止めて道を塞ぐのではないか」
「子供を預ける親が、園の前でおしゃべりしたりしないのか」


騒音問題のほか、若い親のマナーに対する強い拒絶感もあったという。
住民との話し合いを行った園の担当者によると、保育園の設立に対して、
『基地のようなトンデモナイものがやってくる』
というイメージで受け取られている感じもあったという。

こうなったら話し合いをくりかえして、町ぐるみの合意形成を目指すしか
ないと思うが、『基地のようなトンデモナイもの』とまで思われていると、
相当な時間がかかってしまう。
この保育園のその後を調べてみると、どうやら、ようやく今年の6月に
「開園予定」となったようで、保育士の募集を行っていた。
2年半かかって、開園できるなら良かったが、当時入園予定だった子は、
もう卒園の年齢になっている。
2014年の目黒区の待機児童は132名だった。
2015年は247名、そして今年は294名と増加中だ。

このように反発を受けながら開園した保育園のなかには、
開園後も苦情が殺到して、子供を自由に遊ばせられないところもあるという。
NHKの特集で見たのだが、「子供の姿を見たくない」という苦情まであり、
保育園をにらみつけるような住民もいるようだ。
取材を受けていた保育園では、天気のよい昼間でもカーテンを閉めきり、
楽器は禁止、園庭で遊ばせる時間も制限して、苦情次第では室内から
出さない日もあると言っていた。
ようやくできたものの、周辺住民に気兼ねして、ビクビクと子供を保育しなければ
ならない保育園・・・。


こういった話を知ったときは、なんて冷たい住民たちなんだと腹が立ったが、
そもそも、現代の日本の町そのものが、子供たちの居場所をある意味
「隔離」した状態にあることにも問題があるのでは
ないかと思った。
(つづく)
 
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また五輪ネタかよお・・・。


エンブレムパクり騒動、新国立競技場ザハ案白紙撤回とあって、
ようやく建築費コミコミ設計の木造競技場に決まったとやらで、
ほとんど忘れ去っていた五輪ネタだけど。今度は、

「聖火台のこと忘れてた!
木造の屋根だからこのままでは
設置できないかも」

え。今ごろー!?

建築家の隈研吾氏によると、

「応募要綱の中に聖火台のことが含まれていなかった」

とのこと。
どこに設置するのか聞かれると、

「演出とすごく関係があると思う。演出家も決まっていないので、
建築家として言うのはおこがましい」


だって・・・。

当初予定していた1490億円の設備費が、膨らむ可能性は高い
そうだ。

森喜朗会長、遠藤利明五輪相、舛添要一東京知事らが集まって
会議を開いたそうだけど、一体どんな会話をしているのか聞かせ
てほしい。
大きく目立つ結果を出せば「俺が、俺が」とデカい顔するくせに、
大失敗すると、堂々と責任とるという人が誰も出てこないんだもん。


なんかもーーーーー、うざいっ! 潔い人を見たい!

 
日誌 | - | -

アメリカ製答弁ロボットなのですか?


「保育園落ちた日本死ね」を国会で読み上げられた安倍首相は、
「匿名である以上、実際本当に起こっているか、確認しようがない」
などと答弁して、まともに向き合う気がないことを改めて示した。

「子供の貧困対策基金」の問題では、2千万円弱しか集まらない
寄付金の広告宣伝費に、2億円も!? 内訳を見てみたら、

広告代理店に6500万円、
ホームページ作成に3000万円、
インターネットの広告代金7000万円


頭がくらくらする。
単に、営利目的の広告業界を潤わせただけじゃないか。
お菓子の袋をごそごそしながら「お腹すいた」と訴える子供の
映像を見て、まさか安倍首相は
「顔にモザイクが入っている以上、実際本当に貧困かどうか、
確認しようがない」
とでも答弁するつもりなのだろうか?

与党理事らとの会食の席で、安倍首相は、
「答弁ロボットがあったらいいなあ」
などとぼやき、菅官房長官から「そのほうが冷静に答弁できる」と
からかわれるシーンがあったそうだ。
一国の首相がどれだけふざけてるんだと思ったけれど、
実は安倍首相は、そんなロボットわざわざ用意しなくとも、
すでに自分自身が、心を痛めることも、情を持つこともない、
冷血な「答弁ロボット」だったのでは?


先日は、エジプトのシシ大統領との来日会談後、
「両国の友好関係を深め、テロ対策で協力していく」とし、
『エジプトの民主化支援』のため、官民で2兆円規模の経済協力、
カイロの電力供給や空港整備などインフラに540億円の融資、
今後5年間で2500人の留学生受け入れなどを発表していたが、
正直言って、そこ、優先してお金使うところなの? と思った。

そもそも、シシ大統領はエジプトの『アラブの春』を軍事クーデターで
ぶっつぶして国民を押さえ込んでいる強権で、
活動家は大量に虐殺しているし、民間人も「反政府」とわかれば
容赦なく拘束、数千人規模の市民が拷問されている状態だ。
この政権にプレゼントする2兆円の名目が『民主化支援』?
なんか、おかしくない?
「民主化」とさえ言っておけば善人に見えるから?
それとも、「アメリカみたいなこと」をしたいから?
安倍首相は、アメリカ製答弁ロボットなのですか?

 
政治・社会問題 | - | -

ディカプリオのスピーチと、今井絵理子の今後

先日、たまたまつけたチャンネルで、若き日のディカプリオと
クレア・デインズの『ロミオ+ジュリエット』が流れていたので見入った。
公開当時、私は大学の文芸学部で映画制作の講義をとっていたんだけど、
映画監督でもあるK教授が、この映画について、
「冒頭の15分以外、クソ映画だ。クソすぎる! 15分見たら劇場出ていい!」
とやたら声を荒げて酷評…というかほとんど激怒しまくっていた。
その強烈さが、私の記憶にいまでも染みついてしまっていて、
今回も、しっかり最後まで見て、心中シーンでティッシュまで必要としながら、
「やっぱりあのセリフまわしはクソだわ……」
とため息をついて自分の気持ちをおさめたのであった。
なんなんですかね、この心理…。私は弱い人間かもしれません…。

あれから20年。
あんなにかわいくて甘かったディカプリオも、ずいぶん渋みが出て、
本当にいい俳優になったよなあ。
レオナルド・ディカプリオ、初オスカーを受賞。
さきほど、そのスピーチの全文があったので読んだのだけど、
映画『レヴェナント』の撮影で、雪を探すために地球の南端まで行く必要が
あったという体験に触れ、地球温暖化に言及、そこから、
汚染者や大企業を代弁しないリーダーを支持しましょう!
と、大統領選について自分の信条を堂々と述べて拍手喝さいを受けていた。

ハリウッド俳優ははっきり自分の政治信条を公言するからすごいよね。
日本の芸能人は絶対にこんなこと言わない。
配慮、配慮、で、結局は「政治については発言を控えたほうがいい」
というのが全体の感覚になっている。
芸能かたわら文筆活動をしている人でも、安保法制ひとつまともに語らず、
「賛成とも言えないし、反対とも言い切れない面があると思う」
と、立ち位置をはっきりと明言できない。

右見て、左見て、物を言ってはいけない空気に歯がゆい思いをしている
芸能人はきっとたくさんいるんじゃないかと思うのだけど・・・。
今井絵理子も、立候補前に
「SPEEDが再結成する可能性もあるので、その時はツアーなど音楽活動
をしたいが、可能なのか?」

などと訊ねて、「国会閉会中にはツアーもできる」(!?)と確認を
とったらしいけど、新人議員は閉会中も勉強しなきゃいけないこと
だらけのはず。
立候補前からそんな態度じゃ、2012年議員問題と同じでしょ。

それならば、わざわざ政治家になるのでなく、
政治的な発言も自由にバンバンするメジャーな歌手、というジャンルを
切り拓くほうが、よっぽど社会のためになるのでは。
別にSPEEDの4人の意見が全然違ったってかまわないのだし。

 
日誌 | - | -

貼り紙『外国人観光客お断り』のいきさつ。


去年、仕事で中国へ行ったとき、帰りの春秋航空の機内販売で、
ジョークで自撮り棒を買った。
正月、話のネタになるだろうと、実家に持って帰ったら、すかさず
「そんな中国人みたいなこと、みっともないからやめてよ!」
と罵られた私です。

『外国人観光客は目障りだ』という意見が、「差別発言」とか
「排外主義」とされて物議を醸しているそうだけれど、なんで?

「マンションの資産価値が下がるからベランダに布団を干すな」
など、住民の協定をつくるほど美観やマナーにうるさい日本人が、
ジャージ姿で銀座の並木通りを練り歩き、高級店に押し掛けて、
ギャーギャー言いながら爆買いし、地面にスーツケースを広げて
荷物をどさどさ詰め込んでいる外国人観光客の姿を見て、

「まあ、外国人って素敵。大好き。もっと大勢でずっと来てほしい。
母国はさぞ素晴らしいお国柄なのね」


と思っているんだろうか・・・?

「金になるから商売してる人は呼び込んで儲けているんだろうけど、
住民としてはいい加減にしてほしい」


と感じているのがふつうだと思っていた。
というより、そう思っていても、それを本当に言葉にする人が現れたら、
途端に善人マスクをかぶって、PTAみたいにガミガミ怒りはじめるって
ことなのかしら。信用ならない人たちですね。

昨年、ひとりで飲食店をやっている店主から、
『外国人観光客お断り』という張り紙を作りたいので、中国語と英語に
翻訳してくれないか?
と頼まれたことがある。
私には英語力も中国語力もなく、翻訳ツールに頼るレベルなので、
もっと実用的に話せる友人を紹介したんだけど。

店主によると、8席しかない小さな料理屋に、外国人観光客が5、6人で
やってきて席を陣取り、1人前の料理を一皿だけ注文して全員で分けたり、
ビール一杯のみで2時間も居座ったり、困って仕方がないと。
おまけに会計時にディスカウントを要求され、言葉はあまり伝わらないし、
早く帰ってもらいたいしで、言われるまま値引いてしまうこともあるという。

わかるなあ…。
ディスカウントについては、飲み屋でも似たようなことがある。
店頭に値段をきっちり表記しておいても、店内に足を踏み入れるなり
「こっちの言い値で飲ませろ」と強気で迫ってくる外国人はものすごく多い。
強い店員や、語学力のある店員は「NO!」と店側のルールを切り返せる
けれど、それができず、迫られることがストレスに感じて、
押し負けてしまう人もたくさんいる。

また、前述の店は、店主と会話しながら、ほどよく楽しく食べるという
雰囲気があるのだが、外国人観光客がドヤドヤと好き放題に騒いでこれが
崩れてしまい、日本人の常連客が嫌がり、店から離れてしまった…とも。
大規模チェーン店ならばまだしも、小さな個人店でこれをやられたら、
おしまいだ。

このままでは閉店に追い込まれてしまうというレベルまで来た店主は、
『外国人観光客お断り』を宣言することに決めたという。
繁華街でもあり、面と向かって口で追い払うと、酔った勢いで喧嘩越しに
なる客もいるため、店の扉に張り紙することを選んだそうだ。
私は、それでいいと思った。

店主はこうも言っていた。

「常連客だけでなく、新規の客もどんどん入れていきたいと思って、
ネットの飲食店情報サイトに店の情報を載せてみたんだけどね、
それを見て来る日本人の新規客も、また、困った人が多いんだよ…」



えっ、日本人にも? どんな困った人が?
せっかくだから、この続きは、火曜日配信の「ライジング」の連載で
紹介しようと思います。

 
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103万円のパートさん、130万円のパートさん。


学生時代アルバイトしていた地元のファストフード店には、
午前中だけ働く『103万円のパートさん』がいた。
ある時、主力のバイトが突然辞めることになって、少しの間だけ、
みんなで穴埋めすることになり、シフトの希望を出し合った。
そのとき、パートさんが店長にこう言った。

「夕方までは働けますけど、103万円を越えないように調整して下さい」

自分のパート年収が103万円を越えない範囲でなら働く、という意味。
このパートさんには、サラリーマンの夫がおり、税制上、夫の収入との
釣り合いをとることで節税し、家計をやりくりしていた。

・手取りを減らさないために、非課税限度額ぎりぎりの金額で働きたい
・税制上、夫が配偶者控除を受けられる範囲の収入におさめたい
・夫が会社から家族手当を受けており、妻の収入条件には上限がある

もちろんだけど、パートさんも税金を払わなければいけない。
年収から、基礎控除(38万円)と給与所得控除(65万円)=103万円を
差し引いた金額に所得税がかかる。
ということは、収入が103万円以下なら非課税、手取りは減らない。

また、このパートさんの場合、夫が勤務先から家族手当を月額1万円
支給されていたが、この支給要件が「妻の年収が103万円以下」だった。
仮に、年収100万円だったパートさんが、店の都合でシフトを増やし、
年収が105万円になった場合…

105万円-103万円=2万円が妻の所得額。
2万円にかかる所得税率は5%だから、妻のおさめる所得税は2000円。
差し引きして、前年の手取り100万円から、4万8000円の手取り額UP

ところが、夫の勤務先の家族手当支給要件から外れてしまうため、
年額12万円の手当を失う微々たるものだが、住民税も増額。
結局、働いた分だけ損したことになってしまう。

このプラスマイナスを凌駕するだけ妻が働けばよいけれども、
それは今の店では無理。辞めて新しい働き先を探すことになる。
それにこのパートさんの場合、家族の事情があり、簡単に働き方を
変えるわけにはいかなかった。



しばらくアルバイトしていた携帯電話販売店には、
『130万円のパートさん』がいた。

「このままじゃ130万円越えそうなのよ。夫の扶養から外されたら大変。
かと言って、もっと働かせてくれるわけじゃないでしょ……」


このパートさんも、夫がサラリーマン。
これまで夫の社会保険上の扶養となっていたため、健康保険料と
国民年金の保険料が免除されていた。
ところが、年収が130万円を超過すると、この扶養からはずれるため
夫とは別に社会保険に加入し、保険料を自己負担することになる。

健康保険料が月額約5000円。
国民年金保険料が月額約15000円。
所得税や住民税のほかに、合計24万円の負担増に。

また、夫が受けていた配偶者特別控除も、38万円⇒11万円に減額。
自分の所得税、住民税のほか、夫にかかる税金も増額になる。

こうなると、収入130万円未満の時の世帯の手取り金額を上回るには、
妻がもっと働いて、収入を170万円近くまで上げなければならなくなる。
しかし、このパート先では、そこまでの収入アップは不可能。
130万円のパートさんは、「働き方を考えなおす」と言って辞めていった。


今年の10月には、このパートタイマーの厚生年金適用基準が変わり、
一定の条件を満たす勤務条件下では、年収106万円以上になると
夫の扶養からはずれ、厚生年金保険料や健康保険保険料を自己負担
することになる。
『106万円のパートさん』の誕生だ。
よし、それならバリバリ働いて200万、300万と稼いじゃうわ、
みんながキラキラしながらそう言えるというならいいけれど・・・。

富裕層がタワーマンションを買って数千万円、あるいはウン億円の
単位で節税するその一方で、
庶民はこうやって5000円でも1万円でも節税しようと考えている。
安倍首相の言う「妻がパート月収25万円」なんて、ちゃんちゃらおかしい。

 
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