退位に関して「天皇の意思」を認めない政治家の怖さ

昨夜寝しなにテレビをつけたら、たまたま「朝まで生テレビ」で生前退位の議論をやっている場面だった。
百地章氏は、いまだに「皇室典範改正には時間がかかる」という議論拒否のためのペテンをばら撒いていて驚く。
「時間がかかるから特例法で退位していただく」では、天皇陛下に対して「面倒だから辞めていただく」と言っているも同然なのに、どうしてその失礼さに気がつかないんだろう…。

田原総一朗氏は、安倍さんは女性天皇とか女性宮家が嫌なんじゃないかな?」とはっきり言葉にして百地氏をすごく慌てさせていたけど、残念ながら、「とりあえずお疲れだから退位していただいて」の二段階論を支持しているようだった。
二段階にすれば、二段階目を踏み倒しても罰則もない状況になってしまう。これまでの様子を見ていれば、あとでちゃんと議論をするだろうと信じるのは、あまりにも人が良すぎると思う。
 

三浦瑠麗氏は、安保法制の例を出して、安保のときは「国の存立の要の部分を変えられたのに、どうして皇室典範を変えることができないのか」と。まったくその通りだと思う。
まさか与党は、「特例法での退位」を強行採決するつもり?

 

井上達夫氏が、「恣意的な退位が起きる」と強弁している百地章氏を、ものすごーく冷ややかで、ものすごーく怖い眼で、じーーっと眺めながら、

「アナクロニズムだ」
「ぼくはこないだ明治天皇の玄孫に対してもそう言ったんだけどね」
と一撃撃沈させたシーンは、迫力があった。録画しとけばよかった。

井上達夫氏は本当に論客として強力な方だなと思う。いつかゴー宣道場にいらしてくれたらなぁ…という思いを持ちつつ、実際にいらしたら質問するのが怖い、なんてことになっちゃう、かも、しれない、とか。とにかくいつも勉強になる。

 

公明党の遠山清彦議員が、

「譲位の条文に【天皇の意思に基づく】という要件を入れると、憲法4条の天皇は国政の権能を有しないという政治不介入の原則に抵触する」

「皇位を変えるということは政治的行為じゃないか」

などと言っていたが、そもそも生まれながらに基本的人権を制限されている天皇陛下個人に、その地位を自ら退きたいという意思も認めないなど、そんな反人道的なことを政治家が堂々と言ってよいのだろうか?
天皇陛下を「国民主権」のための奴隷にしないでほしい。それに、そこを封じ込めてしまったら、あとには「強制退位」しか選択肢が残らなくなるじゃないか。言ってることがむちゃくちゃすぎると思うのだけど。

 

月曜日にMX「モーニングCROSS」に出るので、オピニオンのコーナーで、退位に関して『天皇の意思』を認めようとしない問題点について話す予定。

日誌 | - | -

「錯誤」登記の補足と、安倍首相の「森友学園切り捨て答弁」

 

森友学園をめぐる国有地激安売却問題。
本日24日の衆院予算委員会で、森友学園が「安倍晋三記念小学校」
の文言で寄付金を集めていたことについてのさらなる追及があり、
安倍首相は
「何度も断ったにもかかわらず、寄付金集めに名前を使われている
ことは本当に遺憾であり、抗議をした」
と答弁しているが、苦しいな。

安倍首相は、同じ寄付金集めの質問に対して17日には

「私、そもそもいま、話をうかがって初めて知った」

と答えていたのに、今日になって
「何度も断った」

と答えているのだ。

こんなの「17日は、しらばっくれてました」と自供しているようなものにしか
聞こえないのだが?
のらくら交わしながら、いよいよヤバいとなると、
安倍昭恵夫人は名誉校長を辞任して、安倍首相は森友学園を切り捨てる。
こんないい加減な答弁、国民は信用できない。

今朝のブログ「豊中市国有地格安売却疑惑「錯誤」の不可思議な登記」の
補足資料として、問題の土地登記の所有権に関する部分を載せておく。
4番目の「錯誤」による新関空会社から国への不可解な所有権移転について
国民が納得できるようしっかり調査する必要があるだろう。



 

日誌 | - | -

豊中市国有地格安売却疑惑「錯誤」の不可思議な登記

安倍首相夫人の安倍昭恵氏を名誉校長に据え、「安倍晋三記念小学校」
として寄付金集めを行っていた「学校法人 森友学園」をめぐる、

豊中市の国有地格安売却問題。

森友学園は、8770平米の土地をタダ同然で手に入れているが、
隣りの9492平米の公園用地は、豊中市が14億円を支払い購入している。

この時点ですでにおかしいが、さらにおかしな話があった。
 

もともとこの一帯は伊丹空港の離着陸ルートにあたり、昭和53年ごろに
騒音対策地として国が買収した土地だった。
その後、騒音が軽減されたとして、平成24年7月、この騒音対策地は
「国(運輸省)」から「新関西国際空港株式会社(新関空会社)」に

売却されている。


一昨年、豊中市が同じ騒音対策地から、学校給食センターの建設用地

として、7210平米の土地を購入しているのだが、この時点での土地の
所有者は「新関空会社」だから、豊中市は当然「新関空会社」に購入費を
支払っている。金額は7億7000万円。


その後、この土地に大量の瓦礫が埋まっていることが発覚。
瓦礫にはアスベストが含まれていたため、撤去費用は14億3000万円に
膨れ上がり、豊中市は土地購入費用と合わせて22億円もの支出を余儀
なくされ、給食センターの建設工事はストップしてしまった。
現在、瓦礫の撤去費用について、土地を販売した新関空会社との交渉
を行っているところだという。


同じ騒音対策地なのに、
豊中市は、新関空会社から購入して、総額22億円。
森友学園は、国有地として購入して、国が土地を売り渡す前に1億円の
ごみ撤去費用をくれて、さらに8億円値引いてくれて、タダ同然で入手。


なんだこの不公平は?
森友学園側の弁護士なら、「買った豊中市がチョンボなんですよ」と言う
のだろうが、土地の登記には不可解な面がありすぎる。
 

 

森友学園が小学校用地として購入した土地の登記を見ると、
平成24年7月に、所有者が国から「新関西国際空港株式会社」に移転。
ここまでは豊中市が購入した土地と同じだ。


しかし、平成25年1月10日、なぜか「錯誤」を理由に所有者が抹消され、

その上、なぜ所有者が「国(国土交通省)」に戻っているのだ。

「錯誤」??
つまり「新関空に登記してたけど、間違い! 国のものだったわ!」
ということだ。このような措置がなされたのは、周辺でこの土地のみ。
(ちなみに、平成24年12月26日に政権交代)

こうして不可解な、国への所有権の変更があり、その上で国は、森友学園
のためにタダ同然に値引いて売却しているのである。
 

国交省大阪航空局は「手続き上のミスがあったので国に所有権を戻した。

国が所有しなければならない理由はわからないと回答。
一体どのような「錯誤」があって、新関空会社の土地が、理由もわからず
国の所有に戻り、そして森友学園だけにこれほどの優遇が成される経緯に
至ったのか?
関係者には説明責任があるだろう。

日誌 | - | -

「メキシコから学ぶ“グローバリズム”という呪い」

「泉美木蘭のトンデモ見聞録」連載第21回、配信されました。

今回のテーマは…「メキシコから学ぶ“グローバリズム”という呪い」

 

http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1194815

 

この数年、日本に浸透した「グローバリズム」「グローバル化」という言葉。

いまや誰もが「どうしてもそうなっていくもの、逆らっても仕方がない流れ」のように思い込んで、無条件に受け入れていくような言説が成されているけれど…?

グローバリズム信仰による新自由主義体制を貫いた結果、「壊国」の危機に瀕してしまったメキシコの事例をもとに、「グローバリズム」によってアイデンティティそのものを失ってしまう怖さと、それによって発生した「国境越え」による摩擦などをくわしく書いています。

「トランプがすごいヘイトスピーチしまくっているけど、そもそもどうしてメキシコ人ってあんなに国境越えするの?」

「どうして国境の壁ができてしまったの?」

そんな疑問にもお答えしています。

 

 


小林よしのりライジングVol.213

購読は…月額540円(毎週火曜日のメルマガ配信+小林よしのり先生と泉美木蘭の生放送つき)

 

【今週のお知らせ】

※「ゴーマニズム宣言」
 …女優の清水富美加が、突如すべての仕事を
 放り出して宗教団体「幸福の科学」に出家してしまい、
 大騒動になっている。「幸福の科学」は清水の
 所属事務所・レプロエンタテインメントを
 「ブラック企業」扱いして対決姿勢を露わにしているが、
 レプロ側の言い分は全く異なる。
 この騒動や、電通の事件以降の
 「ブラック企業バッシングブーム」から読み取れる、
 日本の労働観の変化とは?


※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」
 …“グローバリズム”“グローバル化”という言葉を
 あまりにもくり返し刷り込まれたことによって、
 もうこの流れは人の手ではどうにも抗えないもので、
 「迷惑に感じても我慢していくしかないのが現実」
 「新しい価値観を受け入れることが大事」
 と何の根拠もなく思い込まされ、
 完全に主体性を見失ってしまった人は
 本当に多いと思う。
 そう思い込まされた結果、アイデンティティ
 そのものを奪われてしまったのがメキシコである!
 メキシコの事例から日本人は何を学ぶべきなのか?


※よしりんが読者からの質問に直接回答
 「Q&Aコーナー」!
 世間的には下手と言われていても、
 先生が“絵”を評価している漫画家は?
 好きなアイドルには出家してほしくない?
 ハロウィンなどの西洋行事ばかり
 広めようとするのは何故?
 好きな芸能人に自著の宣伝をしてもらうのはアリ?
 「夜専用ブラ」とは何のためにある?
 もっと多くの議員にあってロビー活動をして!
 うっかり電車を乗り過ごしたことはある?
 …等々、よしりんの回答や如何に!?

 

 

【今週の目次】

1. ゴーマニズム宣言・第213回
 「宗教とブラック企業、信頼を破壊するものとは?」


2. しゃべらせてクリ!・第171回
 「ぽっくん堂々の挙手・発言ぶぁ~い!の巻〈前編〉」


3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第21回
 「メキシコから学ぶ“グローバリズム”という呪い」


4. Q&Aコーナー


5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)


6. 読者から寄せられた感想・ご要望など


7. 編集後記

泉美木蘭からのおしらせ | - | -

権力の監視ができない日本のメディアは異常。ジャーナリズムはどこへ行った。

民進党が、学校法人「森友学園」に関する国有地異常破格売却問題に

ついて党独自の調査チームを発足、同学園が4月に開校予定の小学校
では、名誉校長に安倍晋三首相の妻・安倍昭恵氏が就任している事実

も含め、真相解明をすすめているが・・・

メディアが報じようとしないのは異常ではないか?
20日にも衆院予算委員会で続報があったのに、今朝のテレビでは

朝刊見出しチェックを見ても、全国紙どこも取り上げていない。

ジャーナリズムはどこへ行ってしまったんだ?

 

問題の国有地は、森友学園に小学校用地として売却されたものだが、

鑑定価格9億5600万円のところ、「ごみ撤去費」という名目で、

8億1900万円もの値引きがなされていた。

売却額はたった1割の1億3400万円。

 

しかし、今回の民進党の調査によると、この土地売却よりさらに前に、

「敷地内のごみを森友学園が除去する」という名目で、その費用を国が

負担するという合意書が交わされ、カネが振り込まれていたことが発覚。

その金額は1億3176万円。

 

森友学園は、国から1億3176万円のカネを受け取ったあと、国に対して

「地下にさらに大量のごみがある」と報告。

国は、この除去費用の名目ということで、購入費用から8億1900万円を

値引いているのだ。

結局、差額を計算すると、この国有地の売却によって国が得た収入は、

たったの約200万円! タダ同然である。

民進党は「近隣地は約14億円で売っているのに、異常だ」と指摘した。

 

さらに同学園は、「安倍晋三記念小学校」の寄付者銘板に名前を刻印して

顕彰するとの文言で寄付金を集めていたという。

 

問題の土地で森友学園が4月に開校させる予定の小学校では、

名誉校長に安倍首相の妻・安倍昭恵氏が就任している。

安倍首相も、この件については「承知している」と回答し、

「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」

と説明していた。

 

その安倍昭恵氏が大絶賛する「森友学園の先生の教育に対する熱意」は、

動画サイトなどにその様子が多数投稿されているので誰でも見ることが

できる。

森友学園が大阪市内ですでに経営している幼稚園では、毎朝の朝礼で、

教育勅語を朗誦しているのだが、

幼稚園児が大阪護国神社の境内に集まった老人たちの前に並び、一斉に

教育勅語を唱えあげ、「同期の桜」を歌う様子は、はっきり言って異常

だった。

 

園の様子は以前からインターネット上で非難の的となっており、園は、

一時期、ネット上の書き込みに対して、

 

「投稿者は、巧妙に潜り込んだK国(韓国)・C国(中国)人等の

元不良保護者であることがわかりました」

 

などと記した声明文を掲載していた。完全なるネトウヨ幼稚園である。

 

さらに、保護者向けに配られた新聞では、この園の理事長が、

「安倍晋三内閣総理大臣のように身近な人をモデルにし、偉人を手本と

することです」と記し、安倍昭恵氏が園で講演する様子などを紹介して

いる。
 

 

なにからなにまで異常だ!

9億以上の国有地が、安倍首相夫人が名誉校長をつとめる小学校用地に
タダ同然で売却された事実だけでも、一面トップで糾弾すべき大問題だ。
どうしてメディアは報じないのか?
そんなに安倍晋三と食事できなくなることが恐ろしいのか?
食事できなくなる? 万々歳じゃないか。
もう権力者の顔色なんか窺わずに済むんだぞ?
報道する者の矜持を胸に、思う存分、自分の仕事がやれるんだ。

真実に触れない、権力を監視する役割を放棄するのなら、
もうメディアの価値なんかない。

報道が権力ベッタリになってしまったら、権力は肥大化するばかりだ。
日本のメディアはみっともない!

日誌 | - | -

共謀罪の女子トーク

ジャーナリストの笹幸恵さんと泉美木蘭のトーク番組「淑女我報」、今回は共謀罪について語り合っています。

野党の追及でどんどんわかりづらかった「共謀罪」の危うい中身が明らかにされていっていますが、これがもし法案として通ってしまったら、どんなことが起きるのか? 一般女子庶民の目線からトークしてます。だいぶ脱線してるけど。

 

『ゆきりん♥もくれん 淑女我報』vol.15

テーマ:「共謀罪」で監視社会になる!?

出演:笹幸恵(ジャーナリスト・戦史研究家)・泉美木蘭(作家・ライター)

http://www.nicovideo.jp/watch/1486018623

 

チャンネル会員無料。

会員以外の方は

150円+税でご覧いただけます。

 

動画説明

今国会で審議されている、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案。
過去3度も廃案になっているのに、なぜいま成立させようとしているのか?
「共謀罪」ではなく「テロ等準備罪」という名称にして、テロ対策のため必要だってことにしようとしているが、テロ等の「等」って一体何なの!?
対象となる犯罪を従来の600超から300弱に削減しますから…って、バーゲンセールかい!!
この「共謀罪」の趣旨を見ていくと、本当に戦前の「治安維持法」にそっくり!
そもそも、実行行為も準備も伴わない、ただ話し合っただけで犯罪になるというのは、まさに人の「内心」を取り締まろうというもの。これを立件するには「監視」や「密告」が不可欠となる!
終盤、「密告したこと・されたこと」はある?…というネタ振りから始まった脱線トークの破壊力で、「共謀罪」の話が危うくどこかに飛んで行きそうになりますが…とにかく、「共謀罪」を警戒せよ!!

泉美木蘭からのおしらせ | - | -

「違憲」と断じられるのを警戒して議論拒否する?

 

いつも思うけれど、日本って「違憲の疑い」「違憲状態」という言葉はあっても、時間の経過と共にたちまち押し流されて、結局は、そのまま踏み倒されてゆき、積み重なったいろいろな懸案事項のひとつ、ということでしかなくなっていく。
「違憲」に重みを感じていない怖さ。
まったく権力を縛れていないけど、こんなにゆるい仕組みで大丈夫なのかなと本気で心配だ。

2月17日の朝日新聞朝刊4面の隅っこに小さな記事があった。

民進党の武正公一氏(衆議院憲法審査会・野党筆頭理事)が、天皇陛下の退位について、「憲法第1章の天皇や皇室、皇室典範にかかわる課題を、衆議院憲法審査会で取り上げるべきだ」と2度に渡り要請しているそうだが、与党側は拒否し続けているという。

これまで多くの憲法学者が、特例法による退位に疑義を表明しているが、憲法審査会の議題にのぼれば、「ルールなき先例化」の危険性や、「天皇の人権」などについて、もっと全うに、もっと広く議論されるだろうし、明確に「特例法では違憲」と断じる法学者も現れるのではと、私でも想像がつく。
朝日新聞によると、こうだ。

“与党側には、憲法審で各党が意見をぶつけ合うのは避けたいとの
思惑がある。2015年の衆院憲法審で、参考人の憲法学者3人が
安全保障法制を「違憲」と断じて、審査会の実質審議が止まった
経緯があり、特に参考人質疑で取り上げられることを警戒している”


自分たちのやり方が正当だと思っているならば、堂々と議論すればよい。
しかし、安倍政権は、自分たちが推し進める「特例法による退位」が、憲法学者らに「違憲」と断じられることを自覚しているのだ。だから、取り上げられることを警戒して、議論を拒否。
「ご譲位の話は静かな環境で」などと作った笑みを顔にはりつけながら。姑息すぎる。

しかしこんな圧力下にあっても、声をあげて立ち上がっている勇気ある自民党議員もいる。石破茂氏も苦闘しながら声をあげているし、そして、次回のゴー宣道場にも自民党議員がご登場!

 

第62回ゴー宣道場は2017年3月12日(日)14時より。

参加要綱はこちらから↓↓

 

日誌 | - | -

メキシコのこと。日本の恥ずかしさ。

ここしばらく、カナダの文化人類学者エリザベス・フィッティングの『壊国の契約』という本を読んでいる。

 


NAFTA下のメキシコで起きた米国製遺伝子組み換えトウモロコシの販売をめぐる「新自由主義コーン体制 vs 現地農民」の戦い。
トウモロコシは本来メキシコ人にとって、ただの「売り物・ビジネス」ではなく、メキシコ人をメキシコ人たらしめてきた文化の象徴であり、アイデンティティそのものであったということが、植民地時代からの混血の歴史、穀物の歴史と共に、文化人類学の観点より詳しく解説されている。
新自由主義体制・グローバリゼーションによって、メキシコが、なにより大切な「メキシコ」を売り渡してしまったことが本当によくわかった。

メキシコの農民は「国境を越えアメリカの低賃金労働者となって、浮遊した若者」「国境越えができないのでトウモロコシで自給自足するしかない孤立した高齢者」とに分断され、農業にまつわる知恵や技術は伝播されることなく失われていっている。
国境越えの《自由》を得た人は、引き換えに、技術もなく訓練も受けられない存在となり《使い勝手のよい労働力》として搾取される。

一連の戦いで「新自由主義体制派」と「自国のトウモロコシ保守派」との間で応酬されたスローガンも紹介されているのだけど、その中には、保守派の言葉を巧妙に飲み込んで、国民を騙す方向へと誘導するような文章が仕込まれていたりもして、勉強になった。
近いうちに、ライジングの連載にも書いておきたい。

しかしこの本を読んでいたら、トランプ大統領によってNAFTAが見直されるということならば、そりゃしっかり見直したらどうか、「お〜い、メキシコ、自国を立て直す時が来たと思って再交渉がんばれ!」と言いたくなった。
同時に、「ねえねえ、アメリカ、移民の原因を冷静に考えてみようよ…」とも。

しかし、トランプ安倍会談の《キスする5秒前の恋人の間合い》みたいな映像にうっとりしている日本人は、

 

このわざとらしいやつな…。(私には合気道『片手持ち二ヶ条』の間合いに見えるんだけど…)


そういった「中身」の大事な話は、まったくどうでもよくなっているみたいだ。

「トランプさんと5回連続でご飯食べたの♥」
「トランプさんの別荘に2連泊したの♥」
「トランプさんと18ホール回ったあと、また9ホール回ったの♥」
「トランプさん、安倍さんのことツイッターに8回書いてる♥」


って、つきあいはじめの彼氏の愛情度合いを具体化して確かめて気持ち盛り上げたがってる乙女の女子トークかっつの!

「うそお♥ すっごい濃密ぅ♥ それもう絶対愛されてるじゃあーん♥」
「だよね、やっぱりそうだよね? 北朝鮮のミサイル飛んできたのが、
トランプさんと一緒にいる時で本当によかった♥ 安堵感すごいの♥」


日本のメディアにはこんなトークばかりが溢れているんですよ。
わたし、すごく恥ずかしい…。

「トランプ大統領の移民政策を諫めるのは、内政干渉にあたり、論外」と言っている安倍提灯経済学者がいたけど、内政干渉でんでんの前に、『われわれ日本は、こう考えている』という確固とした主体性を持てずに、ただただ保護を求めてトランプ大統領と夜を共にしていることを賛美してるほうがよっぽど「論外」な話だと思う。

トランプ勝利からしばらくは、ひたすら「トランプは得体が知れない!」「恐怖の保護主義!」「差別主義者!」なんて取り沙汰してギャアギャア怒ってケチをつけまくっていたのに、コロッと寝返って「トランプさんって素敵なひとよねなのだから、やっぱりメディアで重宝される知識人って「その時の流れに乗って話を盛り上げる知識のある人」でしかなく、つまりはまったく本気ではない、「日和見専門家」なのかなと思ってしまう。

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