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El Cantante

2年ぶりぐらいに地元のサルサクラブに顔を出してみた。
ずいぶん顔ぶれが変わっていて知らない人ばかりだったけど、覚えていてくれた人がいて、何曲か踊ってきた。

いつもアイララでスニーカーのままキューバンスタイルぽく踊っていたから、ヒールの高いサルサ・シューズで、くるくる回されながら踊るようなのは久しぶりだった。

 

昨日、生放送が終わって帰宅して、寝しなにサルサ界の大スター歌手エクトル・ラボーの生涯を描いた映画『El Cantante』を観ちゃったんだよ。
もともとここしばらく気分が落ち気味なんだけど、エクトル・ラボーという天才歌手の男の人生が、またあまりに悲哀に覆われていて、ものすごく動揺してグスグスに泣いて歌に浸ってしまった。

 

生まれ故郷のプエルトリコからニューヨークに出たエクトル・ラボーは、出入りしていたラテンクラブですぐに評判になり、FANIA Recordsに引き抜かれる。で、トロンボーンプレイヤーのウィリー・コロンと組んだバンドで超大成功したんだけど。

 

サルサって陽気なラテン音楽……というイメージかもしれないけど、エクトル・ラボーは貧しさから逃れるためにアメリカにすがりついて故郷を出たヒスパニックの哀しみや、カリブの海への想い、栄光の裏側につきまとう孤独なんかを歌い上げていて、聴き入りながら踊っちゃう。そう、サルサって悲しいの。悲しいから好き。

 

映画では、マーク・アンソニーがうまく役に扮しながら歌い上げていた。
特に「Aguanile」のシーンに驚いた。原始宗教的アニミズムな雰囲気を表現してみた歌なのかと思ってたら、あんな悲惨な現実から生まれた曲だったとは……。歌うしかない人生に畏れ入るしかないよ。

 

 

映画のなかでは、本物のルーベン・ブラデスが出てきて、「エクトル・ラボーに捧げる」と前置きしてから、ギター弾き語りで『El Cantante』を歌うシーンがあった。巻き戻して2回聞いてしまった。
もうファンにはたまりません、っていうかファンにしかわからない世界だけど最高です、みたいな。

 

アイララにもFANIAのレコードいっぱいあるから、もっと聞きたいなあ。

 

 

たださ、マーク・アンソニーもいい声だし、好きなサルサ歌手なんだけど、この映画を観てしまうと、そのあと確実に本物のエクトル・ラボーのサルサをしみじみ聞いてしまうでしょ。そうすると、やっぱり本物のほうが格段にいいわ……とつい思ってしまうよね。闇が深すぎるのよ、エル・カンタンテの人生は。

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